増村江利子

ライター
⻑野県富士見町在住。国立音楽大学卒後、Web制作、広告制作、編集を経てフリーランスエディターとして活動。主なテーマは、暮らし、環境、地域行政。WEBマガジン「greenz.jp」編集長、「SMOUT移住研究所」編集⻑、「ながの人事室」編集長、ビジネスドキュメンタリーマガジン「Community Based Economy Journal」副編集長。地域探訪誌「涌出」編集長。竹でつくったトイレットペーパーの定期便「BambooRoll」を扱う、おかえり株式会社の共同創業者。合同会社森に還すで、放置竹林から「竹ペレット 猫トイレ」を商品化。2017年に東京から富士見町に移住。三児の母として、犬二匹、猫三匹とともに、9坪程度の小屋で家電を使わない暮らしを実践中。ミニマリストとしての暮らしぶりは『アイム・ミニマリスト』(編YADOKARI)にも収められている。

執筆した記事一覧

自然科学

海底火山の噴火で漂着した軽石から、人類が未だ到達しえない地球深部の謎を読み解く

国立研究開発法人海洋研究開発機構吉田 健太

海底火山の噴火で漂着した軽石から、人類が未だ到達しえない地球深部の謎を読み解く

「軽石」と聞くと、何を連想しますか。美容アイテムを連想する人もいるかもしれませんが、実は、れっきとした地球科学の専門用語。爆発的な噴火で噴出したマグマが急激に冷やされて固まった“火山砕屑物”の一種です。マグマが噴き上がる際に溶け込んでいたガス成分が膨張しながら固まるため、多孔質で、スカスカの物質に。岩石でありながら、軽石が水に浮かぶゆえんです。 2021年秋、沖縄の海がこの軽石で埋め尽くされ、大きな話題を呼びました。発生源は約1400km離れた「福徳岡ノ場」。研究の手が極めて及びにくい、絶海の海底火山です。海洋研究開発機構(JAMSTEC)研究員の吉田健太さんは、甚大な被害をもたらしたことから悪者扱いされていた軽石を、貴重なサンプルとして採取・分析し、謎に包まれていた噴火メカニズムの一端を明らかにしました。 一片の岩石に残されたわずかな痕跡から地下深くの謎を推理し、壮大な地球の記憶まで読み解いてしまう。吉田さんの仕事ぶりは“探偵”さながらです。そこには、知られざる地学の醍醐味がたっぷりと詰まっていました。