

荒舩良孝
ライター科学ライター/ジャーナリスト。科学の研究現場から科学と社会の関わりまで幅広く取材し、現代生活になくてはならない存在となった科学について、深く掘り下げて伝えています。最近は、研究者と市民の間にあるギャップを埋められないかと考えています。『重力波発見の物語』『宇宙と生命 最前線の「すごい!」話』などの著作あり。
執筆した記事一覧


量子を自在に操作し、まったく新しい汎用計算機の実現を目指す
沖縄科学技術大学院大学(OIST)の准教授である高橋優樹さんは、量子情報物理実験ユニットを率いて、とても小さな原子を使って量子情報を操作するデバイスの開発やその物理を研究しています。この研究は、私たちが現在使っているデジタルコンピュータが苦手な分野の計算を瞬時におこなえる量子コンピュータの実現につながると期待されています。 OISTは国内外から優れた研究者が集まる世界的な研究拠点です。先駆的な研究と沖縄の風土が交差するOISTから、未来に向けた新しい視点と出会いをお届けします。

ごみだと思われていたゲノム情報から生命の秘密を読み解く
日本人の主食として長年親しまれているお米。米は一年草の植物であるイネの種子で、日本の耕地面積の3割以上で栽培されています。沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究員である小宮怜奈さんはイネが種子をつけて増える生殖のしくみについて研究をしています。 多くの日本人が当たり前のように知っている植物、イネの研究からどんなことが見えてくるのでしょうか。OISTは国内外から優れた研究者が集まる世界的な研究拠点です。先駆的な研究と沖縄の風土が交差するOISTから、未来に向けた新しい視点と出会いをお届けします。

時計が示す時間とは異なる老化、常識の奥に隠れた不思議を発見する
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は国内外から優れた研究者が集まる世界的な研究拠点です。G0細胞ユニットの柳田充弘教授もその一人。柳田さんは母細胞から娘細胞への正確な染色体継承のしくみを長年研究し、この分野の研究をリードしてきましたが、OISTに着任してから新たなテーマで研究を始め、たくさんの成果を発表しています。常に新しいテーマを発見し、研究する姿勢はどこから来るのでしょうか。また、長年研究生活を送ってきた研究者から、現在の日本はどのように見えるのでしょうか。先駆的な研究と沖縄の風土が交差するOISTから、未来に向けた新しい視点と出会いをお届けします。

一番身近で謎に包まれている「記憶」のしくみを明らかにし、生物の精神についての理解を深めたい
私たちは過去の記憶を持ちながら現在を生き、未来をつくっていきます。個人にとって記憶は自己のアイデンティティを保つ重要な要素ですが、その詳しいメカニズムはよくわかっていません。 OIST(沖縄科学技術大学院大学)の准教授である田中和正さんは記憶研究ユニットの責任者として記憶のメカニズム、特に記憶のプロセスの中で海馬の役割を明らかにしようと研究を進めています。動物の記憶メカニズムはどこまでわかってきて、それらの知見が私たちにどんなことをもたらすのでしょうか。先駆的な研究と沖縄の風土が交差するOISTから、未来に向けた新しい視点と出会いをお届けします。

子どもたちや社会の環境リテラシー向上を目指し、学術的な知見を社会に広げる。
OIST(沖縄科学技術大学院大学)で環境科学セクション長を務める吉村正志さんは中学校の教師からアリの研究者に転身した異色の経歴の持ち主です。そして現在では、OISTが沖縄社会と協働して環境調査を進める「OKEON美ら森プロジェクト」のメインコーディネーターも務めています。 OKEON美ら森プロジェクトでは、吉村さんをはじめとするOISTの研究者が沖縄県内のさまざまな機関の協力を受けながらプロジェクトを運営しています。このような形でプロジェクトを進めるようになった背景には、これまでの経験を通して培われた吉村さんの視点がありました。先駆的な研究と沖縄の風土が交差するOISTから、未来に向けた新しい視点と出会いをお届けします。

最先端の生命科学に取り組みながら、芭蕉布という伝統工芸にも向き合う
沖縄県恩納村に拠点を置く沖縄科学技術大学院大学(OIST)核酸化学・工学ユニットに所属するサイエンス テクノロジー アソシエイトの野村陽子さん。 家政学、環境科学、核酸化学と、さまざまな分野を渡り歩き、OISTに着任してからは沖縄の伝統工芸である芭蕉布の研究にも取り組んでいます。あまり接点がなく、真逆のことをやっているように見える先端科学と伝統工芸。なぜ、野村さんは両方の研究をするようになったのでしょうか。その背景を伺っていきます。

物理の理論を駆使し、世の中の役に立つものを生み出す
量子波光学顕微鏡ユニットの新竹積さん。1980年代から巨大な実験施設を建設し、電子などの粒子を加速、衝突させる加速器実験に関わり、たくさんの装置を開発してきました。さらに理化学研究所に移ると、電子を加速させてX線のレーザーを発生させる「SACLA」という装置の開発、建設をリードしました。 そして、OISTに移ってからは、新しい方式の電子顕微鏡や波の力で発電する波力発電装置の開発をしています。そう聞くと、その時々で、いろいろなものをつくってきたという印象を受けるかもしれません。インタビューでは、その背景にある、物理の理論を生かして社会の役に立つという視点が繰り返し語られました。
